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漆器って何?(後編)

ディズニーのお食い初め用漆器

お食い初めのお膳や、大切な和食器には欠かせない存在である漆器。
前編ではそもそも漆器って何なのか、扱い方はどういった点に注意すればいいのかなどをお伝えしました。

後編である今回は、お値段が安い漆器と高い漆器の違いについて解説します☆

漆器はモノによって値段が全然違うのはなぜ?

漆器ほど、値段の上下幅が大きい食器もそうそうありません。お椀一つとっても、安ければ1000円しないくらいで買えるのに、高いものになると数万円することも珍しくありません。
もちろん、安い方がニセモノだったり不良品だったりということはないです。れっきとした漆器同士なのに。

その理由は塗料にあります。

『塗料?漆器なんだから、漆だよね?漆の質ってこと?』
と思った方、鋭い!
実は、漆でなく、ウレタン塗料などの合成塗料を使用した場合でも『漆器』を名乗ることができるのです!(な、なんだってー!)

漆の器と書いて漆器なのに、必ずしも漆を使わなくて良いとはなんという紛らわしさ・・。
ただし、商品の説明書きやwebの商品説明ページなど、お客様の目に触れるどこかには『塗料が漆なのか、ウレタンなのか』を明記する必要があります。正確に言うと、『漆とウレタンの混合塗料』というものもあります。

多少の例外はあるかもしれませんが、数千円で購入できるものはほとんどがウレタン塗装と思って良いです。1万円を超えるものでもウレタンや、漆&ウレタンの混合塗料という場合もあります。

ウレタン、安全性はどうなの?

ウレタンって、あのスポンジみたいなやつのこと?食器の塗装に使って大丈夫なの?とご不安な方。

もちろん、安全性には全く問題ありません!
きちんと国の認可を通過したものだけが塗料として使用できるので、有害ということはまずありません。

なんでこんなに値段が違うの?

漆が高価になってしまう理由。それはものすごく手間がかかるからです。

前回(下にリンクがあります)も解説しましたが、漆を塗料として使うにはウルシの木から樹液を採取するところから始まります。精製し、数々の工程を経て器に塗った後も乾燥には1~2ヶ月を要します。
さらに、近年ではウルシの樹液の採取量が減少してきており、塗料としてのウルシそのものの希少価値が上がってしまっています。

かたや、ウレタン塗料は合成塗料。工場などで大量生産が可能であり、価格は安定しています。塗ってから乾燥までも長くて5~6日。ウルシよりもずっとスピーディーに生産することができます。

漆器って何?(前編)

品質に違いはあるの?

お待たせいたしました。
『ウレタンが安くて、漆が高いのは分かったけど、品質は違うの?』と気になる方、多いと思います。


正直に言いまして、ウレタンと漆は限りなく似ています。
両者の器を並べて比較すると違いが分かる方もいるでしょう。
やはり漆のほうが深くて滑らかな艶があり、手触りも肉厚ながら涼やかな感触が楽しめます。
ウレタンのほうも艶はあるのですが、漆ほど吸い付くような感触は無い気がします。

が、あくまで並べて触り比べたらのこと。
単品で見ればウレタンの方も祝い事を飾る器として遜色はなく、安っぽいということはありません。よほど普段から漆の漆器を使い慣れていない限り、違和感を覚えることは無いと思います。

ちなみに、『硬いスポンジNG』『電子レンジNG』といった漆器を扱う上での諸注意は、ウレタン塗装であろうと漆塗装であろうと変わりません。
「ウレタンだからガシガシ使える」ということはないのでご注意ください。

番外編:カシュー塗料

漆とよく似た塗料に『カシュー塗料』というものがあります。これは、あの『カシューナッツ』の殻から抽出された塗料で、「合成うるし」や「うるし塗料」などと表記されることもあります。

店主は昔、DIYでこのカシュー塗料(ホームセンターなどでも売ってます)を使ったことがあるのですが、それはそれは素晴らしい光沢が出ます。黒などは、いわゆるピアノフィニッシュと呼ばれる、顔が映り込むほど艶のある輝きとなり、漆塗りとの区別もほぼありません。

しかし、カシュー塗料は食品衛生法に適合しておらず、メーカー側も直接口につけて使うお椀、箸などへの使用は推奨しておりません。
したがって、市販されている漆器(食器)でカシュー塗料を使っているものはほぼ無いと思いますが、万が一あったとしたら、たとえ素晴らしい見た目であってもお使いにならないほうが良いでしょう。

まとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございます。
今回は、漆器の中でも値段に差がつく主な要素、ウレタン塗装と漆塗装の違いについて解説しました。

品質(質感)に大きな差がない以上、ウレタンと漆、どちらを選ぶかは完全に好みにまかせてしまっていいと思います。

ただ、店主個人の意見を言わせて頂くなら、お食い初めは漆の漆器(なんてややこしい)を使って頂きたいと考えています。
その理由は、漆塗りの器を使う機会というのはこれから先、ますます少なくなると思われるからです。上でもお伝えした通り、ただでさえ高価な漆は生産量減少などにより、これからさらに価格が上昇していきます。

縄文時代から使われてきた、日本古来の塗料である漆。本物に中々触れる機会がなくなってしまうからこそ、ご家族で集まれるお食い初めの際には、皆様でその艶や質感を愛でて頂けますと、より思い出深い御祝になるのではないかと思います。